ホテルの正しい利用の仕方LOGO

なぜ「ホテル」なのか

素泊まりの民宿ではなく、割安なカプセルホテルでもなく、なぜしっかりと部屋がしつらえてある「ホテル」を選びたいのでしょうか。また、「旅館」でもいいはずなのになぜ「ホテル」がいいのでしょうか。それは私たちの「プライバシー」への意識が高いからです。

自宅のなかはもちろん他人に覗かれたくないものです。なぜなら私たちは自宅で本当の休養をとっているからです。自宅で休養をとる際に、私たちは心身ともに「リラックス」した状態になっています、この状態の自分自身は他人に見られたいものでは無いと思います。さらに、人には社会で活動するための「ON」のときと、すべてのしがらみから開放されてリラックスする「OFF」の時があります。その切り分けがはっきりしている人ほどリフレッシュできるものです。「ON・OFF」の切り替えと呼んだりします。それは馴染んだ自宅だから可能なことであり、他人が足を踏み入れられない安息の場所であるからです。

「外泊」するということは、その馴染んだ休息スペースとは違う場所で一日を終え、また新しい一日を迎えるということになります。そのような場合、完全なリラックスができない原因となるのは「他人」です。スイッチをOFFにしきれない状態になるからです。それは私たちの「社会性」がもたらすものです。豪胆な人であれば、誰がいても、誰に見られていても気にすることはなく休むこともできるのかもしれません。ですが、世の中のすべての人が豪胆であるわけではありません。私たちは「プライベート」という意識が強いのです。自分だけの空間、自分だけの時間を過ごすことで、ようやくスイッチを切り替えることが出来るのです。

「ホテル」は、自宅ではなくてもうまくスイッチがOFFに出来るように工夫された場所です。民宿やカプセルホテルはただ「寝ることができる」という場所です。他人から隔絶され、自分だけの時間を得ることができても私たちは人としての生理意識があります。トイレには必ず行きますし、入浴もしたいものです。ホテルでは他人と接することなくそれが可能なのですが、民宿やカプセルホテルではそれが叶いません。部屋の外にしつらえてある場合が多く、「誰か」とすれ違ったり鉢合わせしたりする可能性も高いのです。そのような際に、私たちは瞬間的に「恥」を感じないように「社会性」のスイッチを入れるのです。

そのようなことが繰り返されるとなかなか「休息」とはかけ離れた状態になります。眠ってしまえば関係なくなるのですが、それまでの時間はなかなかスイッチを切りきれず、また、目が覚めても同様ですから、「疲れ」がとれないままになってしまうかもしれないのです。そのようなことにならないように、ホテルは存在しています。社会で生きることは決して楽しいことだけではありません。「自分」は「他人」とは違うのですから、社会や他の人のすべてを受け入れられるわけでもありません。そのような摩擦のなかで疲れを感じてしまうものですから、私たちは自分だけの時間を求めるのではないでしょうか。そうすることで自分が自分であることを再認識し、また社会、他の人と関わる新しい一日に備えて休息をすべきなのです。

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